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中国の農村部におけるインターネットの利用状況

2008年04月25日            
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★(財)マルチメディア振興センター 国際通信経済研究所
情報通信研究部 客員研究員 劉 雪雁 氏の文章からの引用です。
 
 中国のドメインネームの管理機構である中国インターネット情報センター(CNNIC)が20081月に発表した第21回「中国インターネット発展状況統計報告」によると、20071231日現在、インターネット利用者数は21,000万人にのぼった。この数字は、10年前の第1回調査が行われたときの338.7倍に当たる。インターネットの普及率も5年間で約4倍増の16%となり、依然世界平均の19.1iiを下回っているものの、この1年だけで5.5ポイントの伸びを見せた。
 
図1 インターネット利用者数及び普及率の推移
出所:CNNIC、1997年11月~2008年1月の統計データをもとに作成
 
2007年の1年間で、インターネット利用者数は前年同期に比べて7,300万人増となったが、新規利用者の4割を占めているのは農村部の住民である。しかし現段階では、農村部におけるインターネット人口の増加率(127%)は都市部(38.2%)の3倍以上もあるにもかかわらず、農村部での普及率(7.1%)は都市部(27.3%)の4分の1程度に過ぎない。中国国家統計局の推算では、2006年末現在、中国大陸部の農村人口は約73,700万人で、全人口の56%を占めているが、実際に、インターネット利用者の74.9%が都市部に住んでいる。
 以上の数字から、都市部と農村部でインターネットの普及度合に大きな差が存在していることが分かる。2003年以来、中国の国内総生産(GDP)が5年連続で10%を超える成長を遂げたが、経済発展の過程で生じる地域格差、情報格差の問題は、インターネットの利用人口及び普及率にも反映されている。どのような特徴があるか、といったことについて若干の考察を加えたい。
 
1. インフラと機器の不備とスキル不足は大きな支障
1は、農村部と都市部住民の所得や情報機器保有量を示したものである。インターネットに接続する際、ネットワークと端末の整備が不可欠だが、この表から分かるように、農村部においても、固定電話及び携帯電話の世帯普及率はいずれも6割以上に達したが、百世帯あたりのパソコン保有数はわずか2.7台に過ぎない。インターネット接続に必要な端末が普及しない原因の1つとして、農村部と都市部の所得格差が挙げられる。現段階では、農村部家庭一人あたりの平均年収は3,587元(約53,000円)しかないが、この金額は、中国の市場で販売されているデスクトップパソコンの価格に相当する。インフラや関連機器の整備だけではなく、農村部住民にとってインターネット接続料金も大きな負担となっているため、農村部での低所得がインターネットの普及を制限するボトルネックであると言えよう。
 
表1 農村部と都市部家庭の所得と情報機器保有量比較
 
 
農村部
都市部
所得iii(元)
3,587
11,759
エンゲル係数
43.0%
35.8%
パソコン保有台数(100世帯あたり)
2.7
21
固定電話保有数(100世帯あたり)
64.1
93.3
携帯電話保有数(100世帯あたり)
62.1
152.9
出所:『2007年中国統計摘要』
また、「パソコンやインターネットが分からない」ことも、農村部住民がインターネットを利用しない主な原因として挙げられている。都市部に比べて、農村部住民の教育水準が低いことが、パソコンやインターネットに関する知識やスキルの不足につながった。
 
2. ネットカフェからの利用が多く、「娯楽」機能を重視

 農村部家庭のパソコン保有数がきわめて少ないことは前述のとおりであるが、それでもインターネット利用人口の増加率が100%を超えている。その原因は、ネットカフェからのインターネット利用にある。2007年7月現在、全体の統計では家からの利用は73.8%、ネットカフェからの利用は37.2%となっているが、農村部に限ってみれば、ネットカフェの利用率は53.9%と、全体平均よりも高い。
  一方、インターネットの各機能やサービスの利用率においては、農村部住民がインターネットの娯楽機能を重視する傾向が見られる。「ネットニュース」、「検索エンジン」、「電子メール」、「オンラインショッピング」、「オンラインバンキング」の各項目で、農村部住民の利用率はいずれも都市部住民より10%以上差をつけられているが、「ネット音楽」、「ネット映像」、「ネットゲーム」の利用においては、都市部と同等の割合を占めている。
  農村部住民にとって、インターネットが日常生活やコミュニケーションの道具として一般的に利用されるにはまだ時間がかかりそうだ。しかし、農村部におけるインターネット人口の急増を受けて、中国の農村は巨大な潜在力を潜めたインターネット市場に成長していくことは間違いなく、今後は農村部におけるインターネットの発展からますます目が離せなくなる。
i 中国では、戸籍は大きく二つに分けられる。一つは「農業人口(農村戸籍)」であり、もう一つは「非農業人口(都市戸籍)」である。農村戸籍の人々は、大学に進学したり、国有企業に就職したりするなどの条件を満たさない限り、都市戸籍に変えることができない。本稿でいう「農村部」と「都市部」は、戸籍制度によって法的に分割された領域を指し、「農村部住民」とは、農村戸籍を持つ住民を指している。
ii http://www.internetworldstats.com/
iii ここの「所得」とは、農村家庭の「一人あたりの純収入」、都市家庭の「一人あたり可処分所得」を意味する。
参考文献:
CNNIC
「中国互聯網発展状況統計報告」、20081
CNNIC
2007年中国農村互聯網調査報告」、20078
中国統計出版社『2007年中国統計摘要』、中国統計出版社、20075


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