【北京・中田卓二】中国を訪問中の福田康夫首相は28日午前(日本時間同)、北京の人民大会堂で温家宝首相と約2時間半にわたって会談した。福田首相は、08年の北海道洞爺湖サミットと北京オリンピックに向け「来年を日中関係飛躍の年にしたい」と表明。環境、安全保障、経済などの分野で「戦略的互恵関係」を一層深めるよう呼びかけた。懸案の東シナ海ガス田開発問題では「早期決着への断固たる決意と一刻も早い解決を目指す」ことを確認。来年春の胡錦濤国家主席の訪日までの決着を目指し、協議を加速することで一致した。
会談後、両首相は共同記者会見に臨み、温首相は「来年桜の咲くころ」の胡主席訪日について「国家元首として10年ぶりで意義深い」と強調。「来年の日中友好条約締結30周年を両国で盛大に記念する」と述べた。福田首相は「今ほど日中両国がアジア、世界で力を持った時代はなかった。大きな責任を持ち、将来へのチャンスだ」と強調した。
同行筋によると、中国の首脳が共同会見に臨むのは異例で、日中両国首相が共同会見を行うのは初めてという。首相の訪中は昨年10月の安倍晋三前首相以来で、福田首相の就任後は初めて。
ガス田開発については、共同開発の方法や対象海域の設定などを巡り、27日夜まで事務レベルで交渉を続けた。28日夜、胡主席との会談も行われるが、「中国側が原則論に一定の理解を示す部分もあり、かなり詰まっているが、直ちに乗り越えるのは難しい」(高村正彦外相)状況だ。
気候変動問題については、福田首相が、13年の京都議定書後をにらみ、主要な温室効果ガス排出国が参加する実効的な枠組み作りに中国も加わるよう要請。環境分野での日中協力の一環として、中国国内約10カ所に「省エネ・環境協力センター」設置を表明した。今後3年間で中国人計1万人の研修を実施することも打ち出した。
また、両政府は08年から4年間、年4000人規模の青少年交流実施でも一致した。
安全保障分野では、中国人民解放軍の青年将校と自衛隊若手幹部の相互訪問実施で一致。軍事当局間のホットライン創設へ共同作業グループを早期につくることで合意した。
アジア外交について、福田首相は「日米同盟との共鳴」という持論を説明した。北朝鮮問題では、核計画の「完全な申告」など第2段階措置の重要性を確認し、拉致問題の解決に向けた中国の支援を促した。台湾問題では、国連加盟に関する住民投票などを巡り意見交換した。